qSOFA・敗血症ってなんだ!?を解決
- 敗血症(Sepsis)とは
- SIRS
- qSOFA
- まとめ
昨日のTwitterで宣言した(やっちゃった)ため、これから頑張って少しずつブログを更新していきたいと思います。まずは、最近取り上げられることも多いqSOFA(クイックソーファ)と敗血症について、なんだそれという人の為に解説を加えながら説明していきたいと思います。
1.敗血症(Sepsis)とは
従来の定義では生体の反応が重視されていたことから、敗血症を判別する考え方として「感染症+SIRS」で診断が浸透していました・・・。感染以外の原因は手術、外傷、膵炎、熱傷などがあり、私もそのように覚えていました。(下記の図を参照)
しかし、最近では敗血症の定義が変更され、感染に対する宿主生体反応の調整不全で、生命を脅かす臓器障害と定義が変更(下記の図を参照)され、より臓器障害にスポットが当たっています。SIRSの特異度も高くないという理由から用語がなくなったのです。。。えぇーー!と思った人もいるかもしませんが、理由も考えると納得してもらえるのではないでしょうか。
この図をみて、気づいた人もいるかもしれませんが、旧定義の重症敗血症の定義に近づいたようにも見えますが、旧重症敗血症の定義がそのまま置き換わった訳ではないです。
なぜこのように変わったのかというと、新定義の敗血症の中には、臓器障害を伴うものの、感染によるSIRSを呈さない症例が12.1%含まれているというデータがありました。つまり、新定義の敗血症では、旧・重症敗血症では拾い上げられていなかった1割弱程度の症例を拾い上げられるようになったということです。なるほど、納得!してもらえました?
では敗血症の診断はどのように変わったのか、これはICUか非ICU(ER・病棟・一般外来など)かで変わってきます。
ICUの場合、下記のSOFAスコア(Sepsis-related Organ Failure Assessment)を用いてスコアリングをおこない、SOFAスコアのベースラインから2点以上の増加で、感染症が疑われるものとされている。(合併症のない患者であれば0点がベースラインで、合併症があればその時点でのSOFAスコアからの変化の差が2点以上)
非ICU(ER・病棟・一般外来など)の場合、SOFAスコアで迅速に評価できない場合がほとんどであるため、qSOFA(後述)を用いるとされている。主にベッドサイドですぐに活用することが出来る指標になっています。このqSOFAが2点以上で敗血症を疑い、臓器障害の評価を行うことが推奨されています。
それでは、どのように評価していくと良いのでしょうか?下記に図を示します。
敗血症の診断になったら初期治療を開始することになりますが、治療などについてはまた後日考えましょう。興味のある方は貼り付けているリンクをクリックしてみてください!
2.SIRS
SIRS(全身性炎症反応症候群)とは、以下の2項目を満たす場合と定義されています。病態像は、サイトカインや血管拡張物質の過剰産生による高サイトカイン血症です。サイトカインは血管透過性亢進により白血球や血漿蛋白物質を効率良く標的部位へ輸送してくれる生体反応ですが、過剰になると悪いこと(臓器障害)も起こし得ます。
これまでの話から、じゃあqSOFAの登場でSIRS基準はいらないんじゃないの?と思いますよね。うん、そう言いたくなるのも分かります。
しかし、SIRS基準が悪いという訳ではなく、実際には簡便かつ高い感度をもって敗血症をスクリーニングできる基準で現在でも広く使用されていることや、急性期DIC診断基準にも組み込まれており、過去の研究をみても実臨床において有用であるといえますので併せて評価するのも方法の1つと思います。
3.qSOFA(クイックソーファ)
今まではSIRS基準を参考に緊急度の判断にも役立ててきたと思いますが、その指標は血液検査の結果も判断に入っていたため優れた基準ではあるのですが、悩ましい部分も多かったと思います。そこで登場したのがこのqSOFAです。SOFAスコアは6臓器の障害の程度をスコアリングして重症度を決めるための指標でしたが、今回の改変で様々な場所で使えるクイックSOFAなるものが登場しました。これは、ICU以外つまり病棟や外来などで使用するためのツールとして開発され、非常に簡略化されています。各項目を1点として、2点を超えると敗血症を疑い、SOFAスコアで敗血症かを診断していくことが推奨されています。
※ベッドサイドですぐに使えそうですね!2点以上なら敗血症を疑ってSOFAスコアをチェックしてみてください(^▽^)
4.まとめ
最後に、qSOFAスコアによる判断はあまり厳密にしすぎないようにするほうがよいとも言われています。そもそも挿管されている患者、精神状態が判断しにくい場合など、各項目の数字にこだわりすぎるべきではなく、呼吸回数が21回/分だから問題ないとするのはかえって不自然ですよね。2点以上にならない場合でも、感染によって全身状態が悪化しており、敗血症が疑われる場合はSOFAスコアで臓器障害を評価すべきだと言われていますので、あまり頭をカチカチにしすぎてしまわないようにしてください。患者さん自身を看て、何を必要としているのかを考えてあげてください。
敗血症を考える上で大切なことは、「早期の発見が患者の予後や治療に直結する敗血症患者を確実に拾い上げて、集中治療に繋げていく努力をしなければならないということ」でこれは患者さんにとってはとても意義のあることだと思います。
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